日常的ユーザエクスペリエンス研究

その辺にあるものからユーザエクスペリエンスを学ぶ

企業の適切な規模

事業の領域にもよるとは思いますが、企業の適切な規模というものは存在するのでしょうか?

 

国内にもさまざまな大企業がありますが、当然その規模を維持できなくなれば会社はつぶれてしまいます。維持するにも燃費のよさ(大飯喰らいか小食か)にも依存しますので、維持するための努力が不可欠ですが、適切な規模というのはあるように思います。

少なくとも事業が拡大している間は、事業規模を拡大しつづけるために、増員することで企業の規模も拡大していくわけですが、これはどこかで頂上にたどり着きますから、そこからは新事業領域に進出してさらなる拡大を図るか、適切な規模に変わるかのどちらかになりますね。実際には事業の維持が厳しくなればリストラされたり、新規雇用を減らしたりということが行われています。もしくは、M&Aで周辺事業を買収したりして既存事業とのシナジーを高めて更なる発展といったことを目指すのですが、これは企業の規模を維持もしくは拡大し続けなければならないという競争原理の宿命によるものであって、必ずしも拡大の確信があって参入するとは限らず、拡大自体が目的化しているということも多いのではないでしょうか。

第2次産業革命によって大量生産が可能となり、次々と大企業が生まれてきたわけですが、規模の拡大によるコストダウンで安くてよいものを競争の源泉とするならば、規模の拡大は大量生産によりさらに一つあたりの生産コストを下げますから、競争力を増すわけです。これはグローバル化によりさらに世界規模で起こっており、世界規模での大量調達、大量生産によるコストダウンがなされました。

また、適切な品質レベルというものもこれにより世界規模で統一されてきました。日本市場においては品質に厳しい日本人に合わせたモノづくりがされてきましたが、不必要な高品質はコストを押し上げます。品質を競争軸においてきたばかりに、適度な品質で安い海外の製品に負け始めている事実があります。特に国内の家電メーカです。これは、内需によって国内だけで事業が回っている間は機能していました。国内だけといっても実際は輸出によって外貨を稼いでいた日本人は金持ちだったので、多少高くてもよい品質のものにお金を払うことができたのです。しかし、グローバル化により、だんだんと賃金が下がってきている現状においては、品質にお金をかけることができず、日本の製品がさらに売れないという悪循環に陥ってしまったのでしょう。

さて、そうなると、これからの企業は、

1.グローバル化によって世界規模で拡大を目指す。

2.ニッチで規模は小さくても付加価値の高いものをつくれるように変化する。

のどちらかを目指すことになるのではないでしょうか。

前者の競争軸はコストです。コモディティ化した製品に向いていますね。後者の競争軸は付加価値の高さです。こちらは規模の拡大を望めません。

1を目指してサムソンのように世界で覇権を制するくらいになれば成功でしょうが、果たしていつまで拡大をし続けることができるのか。そのためには世界規模でのマネジメントが必要です。

2を目指すためには付加価値を生み出し続けなければなりません。そのためにはイノベーティブでなければなりません。新しいサービスだったり、新しい製品だったりと生き残るには新しい価値を創造する必要があります。

少し極端な話をしていますが、最近の新しい企業は2を目指して生まれてきていると思います。その場合に適切な規模というのはあるのでしょうか。

なぜ、そのような話をしているのかといいますと、これまで規模の拡大によるコストダウンを競争軸としてきた企業が急に付加価値追求型に変わろうとしても、規模が邪魔をしているように見えるからです。

本業でなければ別会社を作ってやるのでしょうが、本業だとそういったことに踏み切れない事情があるのではないでしょうか。

これはマインドに根っこがあるように感じます。経営層から社員まで含めて、競争軸を変えるということはどういうことなのかをしっかり理解しないとうまくいかないと思います。

世の中にはこれに成功している企業はあるのでしょうか。ちょっと探してみたいと思います。

 

 

ところで話は変わりますが、星野リゾートのようにこれから拡大していく企業には様々な打ち手があるのだなと前回紹介した本を読んで思いました。

しかも、効果的な手法は定石にあるようで、まさに教科書通りの手法をまずは学ぶ必要があると感じましたので、紹介された本を読んでみたいと思っています。

まずは、キホンのこれから読んでみるつもりです。

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版